KornShell

KornShell
作者 デビッド・コーン英語版
初版 1983年[1][2]
最新版
ksh93u+ / 2012年8月1日 (12年前) (2012-08-01)[3]
プログラミング
言語
C
対応OS クロスプラットフォーム
プラットフォーム UNIX
サポート状況 活発
種別 Unixシェル
ライセンス Common Public License (AT&T KornShell), 多くはパブリックドメインで一部はGPL (pdksh), プロプライエタリ (dtksh)
公式サイト www.kornshell.org
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KornShell(コーンシェル、ksh)は、Unixシェルの一種であり、1980年代初期にベル研究所デビッド・コーン英語版が開発し、1983年7月14日のUSENIX年次大会で発表した[1][2]。初期にはベル研究所の開発者マイク・ヴィーチとパット・サリヴァンも開発に関わり、それぞれ入力行編集モードのEmacsスタイルとviスタイルのコードを書いた[4]Bourne Shellに対して完全上位互換であり、コマンド履歴などのC Shellの機能の多くも取り入れている。彼はベル研究所内のユーザーの要望を受けてkshを開発したと言われている。

設計

KornShellは、POSIX.2 Shell and Utilities, Command Interpreter (IEEE Std 1003.2-1992) に準拠している。

従来のBourne shellとKornShellとの主な違いは次の通りである。

  • ジョブコントロール英語版コマンド・エイリアシングコマンド履歴英語版といったC Shell由来の機能が追加されている。
  • 対話モードで使用する場合、kshはコマンド行をWYSIWYG風の方法で編集することができる。カーソルを上に移動させるキー操作で以前入力したコマンド行を呼び出し、そのコマンド行をラインモードエディタを使うように編集できる。このときのキー操作はvi互換モードemacs互換モードとXEmacs互換モードを選択できる。
  • ksh93 では、連想配列浮動小数点数演算機能が組み込まれている。

歴史

2000年まで、KornShellはAT&Tの権利保有するプロプライエタリソフトウェアであった。その後AT&T独自のライセンスの下でオープンソースとなり、2005年の 93q から Common Public License での配布となった。KornShellはAT&T Software Technology (AST) Open Source Software Collectionの一部として入手可能である。ks は当初AT&Tの商用ライセンスでしか入手できなかったため、オープンソースの代替実装がいくつも生まれた。その中には、パブリックドメインのpdkshmkshGNUプロジェクトbashzshなどが含まれる。

最初のKornShellであるksh88の機能がPOSIX.2 Shell and Utilities, Command Interpreter (IEEE Std 1003.2-1992) の元になっている。

ベンダーによっては古いksh88/bin/kshとしていまだに使っているところもあり、独自に拡張している場合もある。ksh93は作者であるコーンがいまだに保守している。ksh93の後ろにアルファベット1文字をつけてバージョンを表しており、最新版はksh93u+である。その1つ前はksh93u、さらに前はksh93t+だった。バグ修正用の中間バージョンはこのバージョン文字列を変更せずにリリースされることもある[5]

デスクトップ用KornShellとされるdtkshCDEの一部として配布されたksh93である[6]。このバージョンではMotifウィジェットのシェルレベルでのマッピングを提供しており、Tcl/Tkとの対抗を意図していた[7]

最初のKornShellである ksh88 は、AIXバージョン4からAIXのデフォルトのシェルとされており[8][9]、ksh93はそれとは別に用意されている[10]

派生

KornShellからの派生ソフトウェアを以下に示す。

  • dtkshksh93からのフォーク。CDEの一部。
  • tkshksh93からのフォーク。Tkウィジェット・ツールキットへのアクセスを提供。
  • okshOpenBSD版KornShellのフォーク。GNU/Linuxでのみ動作。DeLi Linux英語版でデフォルトのシェルとして使われている。
  • mksh — KornShellの自由ソフトウェア実装。MirOS BSD英語版で開発。
  • SKshAmigaOS版KornShell。ARexx英語版との相互作用などAmiga固有の機能を提供している。
  • MKS Korn shell — MKS社による商用実装。Microsoft Windows Services for UNIX (SFU) のバージョン2.0までで使われていた。デビッド・コーンによれば、1998年時点のMKS Korn ShellはKornShellと完全互換ではなかった[11][12]。SFUバージョン3.0でマイクロソフトはMKS Korn shellの代替として新たにPOSIX.2準拠のシェルをInterixの一部として導入した[13]
  • デビッド・コーンが開発したUWIN英語版はWindows上のUNIX互換パッケージで、KornShellも含まれている[14]

脚注

  1. ^ a b Ron Gomes (9 June 1983). "Toronto USENIX Conference Schedule (tentative)". Newsgroupnet.usenix. 2010年12月29日閲覧
  2. ^ a b Guy Harris (10 October 1983). "csh question". Newsgroupnet.flame. 2010年12月29日閲覧
  3. ^ GitHub - att/ast: AST - AT&T Software Technology”. 2020年12月1日閲覧。
  4. ^ Bolsky, Morris I.; Korn, David G. (1989). “Acknowledgements”. The KornShell Command and Programming Language. Englewood Cliffs, NJ: Prentice Hall. pp. xii. ISBN 0-13-516972-0 
  5. ^ http://www2.research.att.com/sw/download/notes.html
  6. ^ Bill Rosenblatt; Arnold Robbins (2002). Learning the Korn Shell (2 ed.). O'Reilly Media, Inc.. pp. viii–ix. ISBN 9780596001957. https://books.google.co.jp/books?id=5nMCY272chUC&pg=PR8&redir_esc=y&hl=ja 
  7. ^ J. Stephen Pendergrast (1995). Desktop KornShell graphical programming. Addison-Wesley. p. 359. ISBN 9780201633757. https://books.google.co.jp/books?id=O6xQAAAAMAAJ&redir_esc=y&hl=ja 
  8. ^ Casey Cannon; Scott Trent; Carolyn Jones (1999). Simply AIX 4.3. Prentice Hall PTR. p. 21. ISBN 9780130213440 
  9. ^ http://publib.boulder.ibm.com/infocenter/aix/v6r1/index.jsp?topic=/com.ibm.aix.cmds/doc/aixcmds5/sh.htm
  10. ^ http://publib.boulder.ibm.com/infocenter/aix/v6r1/index.jsp?topic=/com.ibm.aix.baseadmn/doc/baseadmndita/korn_shell_enhanced.htm
  11. ^ David Korn Tells All”. Slashdot. 2009年10月22日閲覧。
  12. ^ Jerry Feldman — USENIX NT/LISA NT conference attendee”. Lists.blu.org. 2009年10月22日閲覧。
  13. ^ Windows Services for UNIX Version 3.0”. Technet.microsoft.com. 2009年10月22日閲覧。
  14. ^ Anatole Olczak (2001). The Korn shell: Unix and Linux programming manual. Addison-Wesley Professional. pp. 4. ISBN 9780201675238. https://books.google.co.jp/books?id=dCIJv94vXUMC&pg=PA4&redir_esc=y&hl=ja 

私考文献

外部リンク